「キャンプブーム、早く終わらないかな…」そう感じていたあなたへ。その気持ち、痛いほどよく分かります。一時の爆発的なブームは、キャンプ場を人で溢れさせ、本来の静けさとはかけ離れた状況を生み出してしまいました。しかし、ご安心ください。その熱狂もようやく落ち着きを見せ、今こそ本当にキャンプを愛する人たちが、心から自然を楽しめる時代がやってきたのです。本記事では、キャンプブームが本当に終了したのかという現状から、多くの人が「ブーム終了が嬉しい」と感じる理由、そしてこれから先の新しいキャンプの楽しみ方まで、詳しく解説していきます。
【結論】キャンプブームは「終了」ではなく「成熟」へ

まず結論から言うと、2020年頃から始まった爆発的なキャンプブームは「終了」したというより「落ち着き、成熟期に入った」と表現するのが正確です。多くのメディアで「ブーム終了」と報じられていますが、データを見ると少し違う側面が見えてきます。
この章では、現在のキャンプ市場がどうなっているのか、具体的なデータと共に見ていきましょう。
- 大手メーカーの業績から見るブームの落ち着き
- データで見るキャンプ人口のリアル
- ブームから「文化」への移行
大手メーカーの業績から見るブームの落ち着き
キャンプブームの終了が囁かれる大きな要因の一つに、大手アウトドアメーカーの業績変化があります。例えば、業界を牽引してきたスノーピークは、2023年12月期の連結純利益が前期比99.9%減という衝撃的な数字を発表しました。 これは、コロナ禍の特需が終わり、市場が落ち着きを取り戻したことを象徴する出来事と言えるでしょう。
また、アウトドアショップ「WILD-1」を展開するカンセキも、2024年2月期の決算でアウトドア事業が大幅な減益となるなど、関連企業の業績はブームのピーク時に比べて落ち着いているのが現状です。 このようなニュースが、「キャンプブームは終わった」という印象を強く与えているのです。
データで見るキャンプ人口のリアル
では、実際にキャンプをする人は減ってしまったのでしょうか。日本オートキャンプ協会が発表した「オートキャンプ白書」によると、2023年のオートキャンプ参加人口は約600万人で、ピークだった2021年の750万人からは減少しています。 この数字だけを見ると、ブームが去ったように感じるかもしれません。
しかし、重要なのは、コロナ禍以前の2019年以前の水準よりは高いままであるという点です。 さらに、1年間の平均キャンプ回数や泊数は高い水準を維持しており、これは一過性のブームでキャンプを始めた層が離脱し、本当にキャンプが好きなコアなファンが定着したことを示しています。 つまり、人数は減ったものの、キャンプの「質」はむしろ高まっていると言えるのです。
ブームから「文化」への移行
これらの状況を総合すると、キャンプは一過性の「ブーム」から、一部の人々のライフスタイルに根付いた「文化」へと移行している段階にあると考えられます。 流行に流されてキャンプをしていた層が去り、静かに自然と向き合いたい、自分のペースで楽しみたいという人々が残りました。 これは、多くのベテランキャンパーが待ち望んでいた状況ではないでしょうか。メディアの喧騒に惑わされず、自分らしいキャンプを追求できる時代の到来です。
なぜ?「キャンプブーム終了が嬉しい」と感じる5つの理由

「キャンプブームの終了、正直言って嬉しい!」と感じている方は、決して少なくありません。むしろ、心からキャンプを愛する人ほど、この状況を歓迎しているのではないでしょうか。ここでは、多くのキャンパーがブームの終焉を喜ぶ具体的な理由を5つご紹介します。あなたもきっと「そうそう!」と頷いてしまうはずです。
- 理由1:キャンプ場の予約が格段に取りやすくなった
- 理由2:マナーの悪いキャンパーが減って本当に静かになった
- 理由3:混雑が緩和され、ありのままの自然を満喫できる
- 理由4:キャンプ用品が適正価格で手に入りやすくなった
- 理由5:「流行りもの好き」が去り、本来のキャンプの姿に
理由1:キャンプ場の予約が格段に取りやすくなった
ブームの真っ只中、週末や連休の人気キャンプ場の予約は、まるで人気アーティストのチケット争奪戦のようでした。予約開始時刻にパソコンの前に張り付いても、数分で満サイトになることも珍しくありませんでした。 あのストレスから解放されたのは、何より嬉しい変化です。
もちろん、今でも人気のキャンプ場は週末には埋まりますが、以前のような異常な予約困難な状況は緩和されつつあります。「行きたい」と思った時に、比較的スムーズに予約が取れる。これは、純粋にキャンプを楽しみたい人にとって、この上ないメリットと言えるでしょう。 思い立ったが吉日、気軽にフィールドへ出かけられる自由が戻ってきました。
理由2:マナーの悪いキャンパーが減って本当に静かになった
ブームがもたらした最大の弊害は、マナー違反者の増加でした。 夜遅くまでの大声での会話や音楽、ゴミの放置、焚き火の不始末、他人のサイトへの侵入など、考えただけでもうんざりするような光景に遭遇した方も多いはずです。 静かに自然の音を楽しみに来たのに、隣のグループの騒音で眠れない夜を過ごした経験は、思い出したくもありません。
ブームが落ち着いたことで、こうしたマナーを知らない、あるいは守る気のない人々がキャンプ場から姿を消しつつあります。 周囲への配慮を心得たキャンパーが増え、キャンプ場全体が落ち着いた雰囲気を取り戻しているのです。鳥のさえずりや風の音、そして燃える薪のはぜる音だけが聞こえる、あの静かな夜が帰ってきました。
理由3:混雑が緩和され、ありのままの自然を満喫できる
「密を避ける」はずのキャンプが、いつの間にかキャンプ場自体が「密」になるという本末転倒な状況に、疑問を感じていた方も多いでしょう。隣のテントとの距離が近すぎてプライベート感がなかったり、炊事場やトイレが常に行列だったりと、リラックスしに行ったはずが、かえって気疲れしてしまうこともありました。
今は、サイトにもゆとりが生まれ、隣との距離を気にせず、ゆったりと過ごせるようになりました。広々とタープを張り、ハンモックに揺られながら、誰にも邪魔されずに大自然と一体になる。これこそがキャンプの醍醐味です。混雑から解放された今、私たちはありのままの自然を五感で感じることができます。
理由4:キャンプ用品が適正価格で手に入りやすくなった
ブーム期には、人気ブランドのテントやランタンなどが軒並み品薄になり、定価を大幅に上回る価格で転売されることも日常茶飯事でした。本当に必要な人が正規の価格で買えないという、異常な事態が続いていたのです。
現在では、需給バランスが正常化し、多くのキャンプ用品が適正な価格で流通するようになりました。また、ブームの間にキャンプをやめた人々が手放した質の良い中古品が、メルカリなどのフリマアプリに多く出品されています。 憧れていたけれど高くて手が出せなかったギアを、お得に手に入れるチャンスでもあります。賢くギアを選び、自分のキャンプスタイルをより豊かにしていく楽しみが広がっています。
理由5:「流行りもの好き」が去り、本来のキャンプの姿に
ブーム期には、SNSでの「映え」を目的としたキャンパーも多く見受けられました。 おしゃれな写真を撮ることだけが目的で、自然を楽しむことや、キャンプそのもののプロセスには興味がないように見える人々もいました。そうした雰囲気に、違和感を覚えていた方もいるのではないでしょうか。
ブームが去った今、キャンプ場は純粋にアウトドアが好きで、自然の中で過ごす時間を大切にする人々が集う場所へと回帰しています。 見栄や流行を気にすることなく、それぞれが自分のスタイルで静かに楽しむ。そんな本来あるべきキャンプの姿が戻ってきたことを、心から嬉しく感じます。
ブーム終了後の新しいキャンプの楽しみ方

熱狂的なブームが過ぎ去った今、私たちの前には、より深く、より自分らしいキャンプの楽しみ方が広がっています。混雑や喧騒に悩まされることなく、静かな環境でじっくりと自然と向き合える絶好の機会です。ここでは、ブーム後だからこそおすすめしたい、新しいキャンプの楽しみ方をいくつかご紹介します。
- 静寂を独り占めする「ソロキャンプ」の深化
- 夫婦やパートナーと過ごす「デュオキャンプ」
- こだわりの逸品を探す「ガレージブランド」巡り
- 究極の静けさを求めて「平日キャンプ」へ
- 時間を贅沢に使う「こだわりキャンプ飯」
静寂を独り占めする「ソロキャンプ」の深化
ブームの火付け役ともなったソロキャンプですが、その魅力はブーム後さらに輝きを増します。 誰にも気兼ねすることなく、ただひたすらに自分だけの時間を過ごす。焚き火の炎をじっと見つめたり、満点の星空の下で物思いにふけったり、お気に入りの本を読んだり。デジタルデバイスから離れ、自分自身と向き合う時間は、最高の贅沢と言えるでしょう。
ブームが落ち着いたことで、完ソロ(キャンプ場に自分一人しかいない状況)を味わえるチャンスも増えました。サイト選びから設営、食事、片付けまで、全てを自分のペースで丁寧に行う。その一つ一つの工程が、日常では得られない充実感を与えてくれます。
夫婦やパートナーと過ごす「デュオキャンプ」
グループでの賑やかなキャンプも楽しいですが、ブームが落ち着いた今だからこそ、夫婦やパートナーと二人きりで過ごす「デュオキャンプ」はいかがでしょうか。 普段の生活とは違う環境で、二人で協力してテントを立て、一緒に料理を作る。そんな共同作業が、二人の絆をより一層深めてくれます。
夜は焚き火を囲みながら、普段はなかなか話せないようなことをゆっくりと語り合う。自然の中では、心も自然とオープンになります。美しい景色を共有し、静かな時間を過ごすことで、忘れられない思い出が作れるはずです。 大人のための、しっとりとしたキャンプの楽しみ方です。
こだわりの逸品を探す「ガレージブランド」巡り
大手メーカーの製品だけでなく、小規模ながらも独創的で高品質な製品を生み出す「ガレージブランド」に注目するのも、今の時代のキャンプの楽しみ方です。 ブーム期には手に入りにくかったこれらのブランドの製品も、以前よりは入手しやすくなっています。
作り手のこだわりや情熱が詰まった、唯一無二のギアを探す旅は、宝探しのようなワクワク感があります。他の人とは違う、自分だけのキャンプサイトを作り上げていく喜びは格別です。個性的なギアは、キャンプをさらに楽しく、そして愛着のあるものにしてくれるでしょう。
究極の静けさを求めて「平日キャンプ」へ
もし時間に融通が利くのであれば、平日キャンプに挑戦してみることを強くおすすめします。週末に比べてキャンパーの数は圧倒的に少なく、まるで広大なキャンプ場を貸し切りにしたかのような静けさを満喫できます。
平日の利用は、キャンプ場にとっても嬉しいものです。料金が割安に設定されていることも多く、まさに一石二鳥。鳥のさえずりで目を覚まし、誰の足音もしない森を散策する。そんな究極の非日常体験が、平日キャンプには待っています。
時間を贅沢に使う「こだわりキャンプ飯」
時間に追われることのない静かなキャンプでは、食事にもじっくりと時間をかけることができます。 手間のかかるダッチオーブン料理に挑戦したり、燻製を作ってみたり、あるいは現地の食材を使って創作料理を楽しんだり。青空の下で食べる手作りの料理は、どんな高級レストランにも負けない美味しさです。
焚き火でじっくりと淹れたコーヒーを味わう時間も格別です。食事という日常的な行為が、自然の中では特別なイベントに変わります。ブームに流されることなく、食を通じてキャンプの奥深さを探求してみてはいかがでしょうか。
【要注意】キャンプブーム終了による3つのデメリット

キャンプブームの終了は、静かにキャンプを楽しみたい私たちにとって喜ばしいことが多い一方で、いくつかのデメリットも考えられます。物事には必ず光と影があるもの。良い面ばかりでなく、注意すべき点も理解しておくことで、今後のキャンプライフをより賢く楽しむことができます。
- 小規模なアウトドアブランドの撤退
- キャンプ用品店の品揃えの悪化
- 新規キャンプ場のオープン減少
小規模なアウトドアブランドの撤退
ブームに乗って誕生した小規模なアウトドアブランドの中には、ブームの終焉とともに行き詰まり、市場から撤退してしまうケースが出てくる可能性があります。 個性的で魅力的な製品を作っていたとしても、経営体力がなければ事業の継続は困難です。お気に入りのガレージブランドが、いつの間にかなくなってしまうという寂しい事態も起こりうるでしょう。応援したいブランドがあれば、積極的に製品を購入してサポートすることも大切になります。
キャンプ用品店の品揃えの悪化
キャンプ需要の減少に伴い、アウトドア用品店の売り場面積が縮小されたり、キャンプ用品の取り扱い自体が減ってしまったりする可能性も考えられます。 特に、専門性の高いマニアックな商品は、店頭から姿を消してしまうかもしれません。これまでは実店舗で実物を見ながら選べたギアも、今後はオンラインストアに頼らざるを得なくなる場面が増えるかもしれません。気になるギアを見つけたら、早めに手に入れておくのが賢明かもしれません。
新規キャンプ場のオープン減少
ブーム期には、全国各地で新しいキャンプ場が次々とオープンしました。 しかし、ブームが去り、利用者が減少すれば、キャンプ場経営の採算は厳しくなります。その結果、新たにキャンプ場を開設しようという動きは鈍くなることが予想されます。既存のキャンプ場が閉鎖に追い込まれるケースも出てくるかもしれません。私たちキャンパーは、お気に入りのキャンプ場を存続させるためにも、マナーを守り、積極的に利用していく姿勢が求められます。
キャンプブームに関するよくある質問

ここでは、キャンプブームに関して多くの人が抱く疑問について、Q&A形式でお答えします。
Q. 結局、キャンプブームはいつからいつまでだったの?
A. 第二次キャンプブームは、コロナ禍が本格化した2020年頃から急速に盛り上がりを見せました。 3密を避けられるレジャーとして注目され、メディアやSNSで盛んに取り上げられたことで人気が爆発しました。ブームが落ち着き始めたのは、旅行など他のレジャーが本格的に再開した2023年頃からと見られています。
Q. ソロキャンプのブームも終わったの?
A. ソロキャンプも、一時期の熱狂的なブームは落ち着きました。 しかし、ブームが終わったというよりは、キャンプの一つの確立されたスタイルとして定着したと捉えるべきでしょう。一人で静かに自然と向き合うソロキャンプの魅力は普遍的であり、今後も根強い人気を保ち続けると考えられます。
Q. キャンプの次に流行るアウトドアは何?
A. キャンプブームをきっかけに、アウトドア全般への関心が高まっています。次に注目されるものとしては、より手軽に始められる「車中泊」や、キャンピングカーでの自由な旅が挙げられます。 また、キャンプと組み合わせやすい「釣り」や「登山(ハイキング)」といったアクティビティも、さらに人気が高まる可能性があります。
Q. これからキャンプを始めるのはもう遅い?
A. 決して遅くありません。むしろ、今がキャンプを始めるのに最適なタイミングです。ブームが落ち着いたことで、キャンプ場は予約しやすく、キャンプ用品も適正価格で手に入ります。何より、周りの流行に流されることなく、自分のペースでじっくりとキャンプの魅力に触れることができます。ぜひ、この最高の季節にキャンプデビューを果たしてください。
まとめ

- キャンプブームは「終了」ではなく、コア層が残る「成熟期」へ移行した。
- 大手メーカーの業績は落ち着いたが、キャンプ人口はコロナ禍前より高い水準を維持している。
- ブーム終了が嬉しい理由は、予約の取りやすさやマナー向上、混雑緩和などがある。
- 静かな環境が戻り、キャンプ場が本来の姿を取り戻しつつある。
- 中古市場の活性化により、質の良いキャンプ用品が手に入りやすくなった。
- 流行に流されることなく、純粋に自然を楽しむ雰囲気が帰ってきた。
- ブーム後は、ソロキャンプの深化やデュオキャンプなど、より自分らしい楽しみ方が広がる。
- こだわりのガレージブランドを探す楽しみも増えている。
- 究極の静けさを求めるなら、平日キャンプがおすすめ。
- 時間をかけた「こだわりキャンプ飯」も、新しい楽しみ方の一つ。
- デメリットとして、小規模ブランドの撤退や品揃えの悪化が考えられる。
- 新規キャンプ場のオープンが減少し、既存のキャンプ場の維持が重要になる。
- ソロキャンプはブームから定番スタイルへと定着した。
- 次に注目されるのは車中泊や、釣り・登山などの組み合わせアクティビティ。
- これからキャンプを始めるなら、混雑が緩和された今が絶好のタイミング。