せっかくキャンプの計画を立てたのに、天気予報が雨でがっかりしたことはありませんか?雨ならキャンプは中止するしかない、と思う人も多いはずです。しかし、雨だからといってキャンプを諦める必要はありません。この記事では、雨キャンプの魅力や必要な準備、テント設営のコツを解説します。
記事を読めば、雨の日でも安全に楽しむ知識が身に付きます。雨キャンプでは天気予報の確認や、便利アイテムの準備などの事前対策が大切です。記事を参考に、晴れの日とは異なる魅力の雨キャンプを楽しんでみてください。
雨キャンプの魅力

雨キャンプの3つの魅力を紹介します。
- 自然の音を楽しめる
- プライベートな空間を確保しやすい
- 虫が少ない
自然の音を楽しめる
普段とは違う自然の音が楽しめるのも、雨キャンプならではの魅力です。雨音には周囲の騒がしい音を和らげ、心を落ち着かせる効果があります。雨キャンプでは以下の音に耳を澄ませてみましょう。
- テントやタープを優しく叩く雨粒の音
- 森の木々や葉っぱが雨を弾く軽やかな音
- いつもとは違う川のせせらぎや風の音
- 雨の日の生き物たちの声や活動の音
普段は気付かないような自然の小さな音も発見できる点は、雨キャンプならではの特別な体験です。
プライベートな空間を確保しやすい

雨が降るとキャンプ場を利用する人が少なくなるため、雨キャンプでは隣のグループとの間隔を十分に取れる場合があります。テントやタープの中で過ごす時間が増え、プライベートな空間を楽しめる点も雨キャンプの魅力です。他のキャンパーの活動も穏やかになるため、静かな時間が過ごしやすくなります。
雨キャンプでは周辺が騒がしい場合でも、雨の音が周りの音をかき消してくれます。日常の喧噪から離れ、静かにキャンプを楽しみたい人には雨キャンプがおすすめです。
» キャンプにおすすめ!タープの種類と選び方を徹底解説
虫が少ない
虫が少ないことも雨キャンプの大きなメリットの一つです。雨が降ると、蚊やブヨなどの虫の活動が弱まります。雨キャンプでは虫よけグッズの準備や、何度も虫よけスプレーをかけ直す手間の軽減が可能です。
食事の際に食べ物や飲み物に虫が寄ってくる心配も少なくなるため、晴れの日よりも快適に過ごせる場合もあります。虫が苦手な人は、あえて雨の日にキャンプデビューすることも検討してみてください。
雨キャンプに必要な準備

雨キャンプに必要な以下の3つの準備を解説します。
- 事前に天気予報を確認する
- 雨でも快適なキャンプ場を探す
- 雨キャンプの必需品と便利アイテムをそろえる
事前に天気予報を確認する
雨キャンプでは数日前から当日まで、こまめに天気予報を確認しましょう。特に注意して見るべきポイントは以下のとおりです。
- 降水量
- 降水確率
- 風の強さ
- 気温の変化
- 警報や注意報
雨雲レーダーを活用すれば、雨雲の現在の動きや今後の進路をリアルタイムに把握できます。雨が降り始める時間帯や雨の強さの予想によって、雨キャンプのテント設営や撤収作業の計画を立てましょう。一つの天気予報サイトやアプリだけでなく複数の情報源を比較検討すれば、より信頼性の高い情報を得られます。
雨でも快適なキャンプ場を探す

最近では雨キャンプを快適に過ごせるキャンプ場が増えています。大型の屋根付きバーベキューエリアや屋根付きテントサイトがあるキャンプ場なら、雨に濡れずに食事や休憩ができます。地面の排水がしっかりしているキャンプ場を選ぶことも、安全に雨キャンプをするうえで大切な要素です。
温泉やカフェ、室内遊び場などが併設されているキャンプ場は雨でも退屈せず、家族や友だちと楽しく過ごせます。雨天時は普段より交通事情が悪くなるため、アクセスの良いキャンプ場を選びましょう。
» バーベキューで火起こしをする手順を解説
雨キャンプの必需品と便利アイテムをそろえる
雨キャンプでは雨から身を守るためのレインウェアや長靴、折りたたみ傘などが必需品です。レインウェアは上下に分かれていて、蒸れにくい素材のものがおすすめです。テント周りには以下のアイテムをそろえると快適な雨キャンプができます。
- 防水テント
- グランドシート
- タープ
- キャンプマット
テント内には湿気対策として除湿剤や乾燥剤を置きましょう。濡れたタオルや衣類を干すのに洗濯ロープと洗濯バサミもあると便利です。雨キャンプでは作業中に濡れる可能性があるため、以下のアイテムも役立ちます。
- 防水バッグ
- スタッフサック(※1)
- 乾きやすいタオル
- 着替え
- 防水機能付きのヘッドライトやランタン
雨キャンプでは大きめのゴミ袋があると、濡れたものを入れたりゴミをまとめたりと多用途に使えます。スマートフォンやポータブル電源などの電子機器は防水バッグなどに入れ、濡れないように注意しましょう。
※1 スタッフサックとは、アウトドア用品やキャンプ用品でよく使われる小さな収納袋のことです。軽量で柔らかい素材(ナイロンやポリエステルなど)が使われており、紐やドローコードで口を絞って閉じるタイプが一般的です。
雨キャンプのテント設営のコツ

以下の雨キャンプのテント設営のコツを3点解説します。
- 地面の水はけを確認する
- タープを先に設置する
- テントをしっかり固定する
地面の水はけを確認する
快適な雨キャンプをするためには、テントを設営する地面の水はけをしっかり確認しましょう。水はけが悪い場所にテントを張ると、雨水がテントの下に溜まったり浸水したりして足元の状態が悪くなります。周囲より少し高い場所や砂利、草地などの水はけが良い地面は、雨キャンプのテントの設営場所に適しています。
地面がくぼんでいる場所や周りよりも低い場所は、水が流れ込みやすいため、テント設営は避けましょう。先に来ているキャンパーがテント設営を避けている場所も注意が必要です。
雨キャンプの出発前に、キャンプ場のレビューサイトなどで水はけに関する情報を確認しておくことも良い方法です。
タープを先に設置する

雨キャンプでは先にタープを設置すると、雨に濡れずに作業を進められます。テント本体や内側が雨で濡れることを防ぎ、荷物置き場や休憩スペースの確保もできます。
タープを張るときは風の向きを考え、雨や風が吹き込みにくい向きに設営しましょう。雨水がタープの上に溜まらないように、片方を少し低くするなどして傾斜をつけてください。タープの下に大きなシートを敷くと、地面からの湿気や汚れが防げます。
» 練習あるのみ!基本のタープの張り方とおしゃれな張り方、保管のポイント
テントをしっかり固定する
雨キャンプでは、通常のキャンプよりもテントをしっかり固定する必要があります。テントが不安定だと、雨や風の影響を受けて倒れたり雨漏りが生じたりする可能性があります。テントをしっかり固定するためのポイントは以下のとおりです。
- 地面の状態に合わせたペグを選ぶ
- ペグを正しい角度で打ち込む
- 張り綱(ガイロープ)の張り具合を調整する
- 風が強い日はペグの数を増やす
- 外側と内側のシートが接触しないようにする
- 設営後の総点検をする
ペグはテントから伸びるロープと90度になるように、地面に対して60~90度の角度で打ち込んでください。張り綱はテントの生地が均等にピンと張るように張り具合を調整しましょう。
» 初心者向け!テントの種類と選び方を徹底解説
雨キャンプ当日の楽しみ方

雨キャンプならではの以下の楽しみ方を3つ紹介します。
- 雨の日のアウトドア活動
- 室内で楽しめる遊びやゲーム
- 雨の日のキャンプ料理
雨の日のアウトドア活動
雨キャンプでは、晴れた日とは違う特別な雰囲気で自然を感じられます。雨に濡れたくない人はタープの中で読書や音楽鑑賞などを楽しめば、雨音を聞きながら静かなひとときが過ごせます。温かい飲み物を入れて、雨の景色を眺めることもおすすめです。
雨具を着れば、外遊びも楽しめます。キャンプ場の周りを歩き、雨に濡れた草木や生き物を観察してみましょう。防水のカメラやスマートフォンで、雨の日のしっとりとした景色を撮ることも雨キャンプの良い思い出になります。
室内で楽しめる遊びやゲーム

天候に左右されずに楽しめる室内遊びやゲームを用意しておけば、雨キャンプが特別な時間に変わります。以下の遊びやゲームがおすすめです。
- カードゲーム
- ボードゲーム
- しりとり
- なぞなぞ
- ジェスチャーゲーム
- 映画鑑賞
- スケッチ
- 手芸・クラフト
トランプやUNO(ウノ)のようなカードゲームはルールが簡単で、どんなメンバーでも盛り上がれます。雨キャンプの風景を描けば、思い出に残る作品作りが可能です。雨音をBGMにした環境では特別な雰囲気が味わえ、簡単な遊びでも思い出に残る時間に変わります。
雨の日のキャンプ料理
雨キャンプの食事も大きな楽しみの一つです。雨音を聞きながら温かい料理を味わう体験は、晴れの日とは異なる趣があります。雨キャンプでは以下の料理がおすすめです。
- カレー
- シチュー
- ポトフ
- ホットサンド
- アヒージョ
- パエリア
雨で焚火が難しい場合は、カセットコンロがあると便利です。缶詰やレトルト食品を活用したり、家で下準備をしておいたりすれば、雨キャンプでも時短料理が可能です。食後には焼きマシュマロや温かい飲み物を楽しみましょう。雨キャンプでも工夫すれば温かい料理が楽しめます。
雨キャンプ後のメンテナンス方法

雨キャンプ後は、道具を長持ちさせるために以下のメンテナンスを行う必要があります。
- テントやギアを自宅で乾燥させる
- 雨で汚れた道具をきれいにする
テントやギアを自宅で乾燥させる
雨キャンプで使ったテントや寝袋などのキャンプギアは、しっかりと乾かしましょう。濡れたままの状態で片付けると、生乾きの臭いがついたり、道具が傷んだりする原因になります。乾かす方法には以下が挙げられます。
- 浴室乾燥機や除湿機を使う
- 扇風機やサーキュレーターを使う
- 日陰干しをする
- 外に吊るし干しをする
- タオルで水分を拭きとる
- 内側に新聞紙を詰める
雨キャンプで濡れたキャンプ道具を乾かす際は、生地の表面だけでなく縫い目や内側まで完全に乾かしましょう。キャンプ道具をしっかりと乾燥させておけば、次回のキャンプでも快適に使用でき、長持ちさせられます。
雨で汚れた道具をきれいにする
雨キャンプで汚れたキャンプ道具を放っておくとカビやサビが生じて、道具が傷む原因になります。それぞれの道具に合ったお手入れが必要です。泥や土汚れがついているキャンプ道具はブラシを使って大まかに汚れを払い落とします。水洗いできる道具は、薄めた中性洗剤とスポンジで優しく洗いましょう。
金属製のペグやポールは、泥を洗い落とした後で乾いた布で水分をしっかり拭き取ります。サビ防止スプレーを薄く塗っておくと、より良い状態を保ちやすくなります。ロープ類は泥を洗い落とした後に、芯までしっかりと乾燥させてください。
ランタンなどの精密な道具は内部に水が入らないよう細心の注意を払いながら、表面の汚れを丁寧に拭き取ります。食器類は食べ物の残りカスなどをきれいに洗い流し、水気を拭き取ってから乾かしましょう。クーラーボックスは内外をきれいに洗い、フタを開けたまま完全に乾燥させてから保管します。
すべてのキャンプ道具に共通する点として、カビやサビを防ぐためには保管前に完全に乾かす必要があります。
雨キャンプの安全対策

雨キャンプを安全に楽しむためには、以下の対策に気を配りましょう。
- 滑りやすい場所に注意する
- 川の増水に警戒する
- 防寒対策をする
- 天候が悪化した場合は避難する
滑りやすい場所に注意する
雨キャンプでは地面が濡れて滑りやすくなるため、転倒に注意が必要です。普段は安全に歩ける場所でも、雨の日には思わぬところで足を取られてしまう危険性があります。以下の場所は滑りやすいため注意しましょう。
- 濡れた土・草
- 苔むす岩場・木の根元
- 坂道・傾斜地
- 濡れた通路・階段
雨キャンプの際に靴底がすり減った靴やヒールのある靴を履くと、大変危険です。雨キャンプでは滑りにくいアウトドア用の靴や長靴を履きましょう。濡れた場所を歩くときは急がずに一歩一歩、足元をしっかりと確認してください。足元が見えにくい夜間や早朝は、ライトで照らしながら歩くことをおすすめします。
子どもや高齢者は転倒しやすいため、周囲の人がしっかりと見守ってください。
»ファミリーキャンプの魅力とは?始め方や必要な持ち物を徹底解説
川の増水に警戒する

雨キャンプでは、川が増水したり流れが速くなったりする危険があります。川のすぐそばや、川の中にある島のような場所(中州)にはテントを張らないようにしましょう。雨の日は川遊びは避けてください。水難事故を防ぐためには、以下の点に注意を払う必要があります。
- 上流の天気情報
- ダム放流情報
- 川の水位や流れの速さ、水の濁り具合
- サイレンや警報の音
少しでも水かさが増えていると感じたときは、川に近づいたり、渡ろうとしたりしないでください。子どもには常に大人が付き添い、目を離さないようにしましょう。
防寒対策をする
雨に濡れたり風に吹かれたりすると体温が奪われやすいため、雨キャンプでは防寒対策が欠かせません。重ね着でこまめに体温調整をし、気温の変化に対応できる準備をしておきましょう。防水の雨具を着用し、雨キャンプで濡れた場合に備えて多めに着替えを用意しておくこともおすすめです。
雨キャンプ中にテント内で過ごす場合は、マットや簡易ベッドを使用すると地面からの冷えを防げます。季節に合った寝袋を選び、寒さが厳しい場合はインナーシュラフ(※2)や毛布を追加することも良い方法です。
※2 インナーシュラフとは、寝袋(シュラフ)の中に入れて使う薄手の布製カバーのことです。
天候が悪化した場合は避難する
雨キャンプで天候が急に悪化したら安全を第一に考え、ためらわずに避難してください。自然の中では天候が変わりやすいため、急な大雨や風、雷などが大きな危険につながる場合があります。ラジオやスマートフォンで情報収集を行い、警報や注意報に注意を配りましょう。市町村から避難指示が出た場合は必ず従ってください。
キャンプ場の避難場所や管理棟を事前に確かめておくと、万が一の際に冷静に対処できます。雨キャンプ中に少しでも「危ないかな?」と感じることがあれば、早めの避難を心がけてください。
まとめ

雨キャンプは、静けさの中で自然の音に耳を傾けられることや虫が少ないことが大きな魅力です。快適に雨キャンプを楽しむには、事前準備やテント設営の工夫が欠かせません。地面の水はけを確認し、タープを先に設置することが雨キャンプのコツです。
安全に雨キャンプを楽しむためには、滑りやすい場所や川の増水、天候の悪化などに注意する必要があります。雨キャンプでは安全に十分気を配り、事前準備をしっかり行えば、晴れの日にも劣らない体験ができます。記事の内容を参考に、家族や友達と一緒に雨キャンプならではの特別な思い出を作りましょう。